災害への備えというと、飲料水や非常食、防災用品などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし、マンション防災では、各家庭の備えに加えて、停電・断水への対応、防災設備の確認、居住者同士の連絡体制など、管理組合として準備しておくべきことがあります。
防災倉庫や防災マニュアルがあっても、災害時に使えなければ十分とはいえません。
今回は、イントスが公開している防災動画とともに、マンション管理組合と居住者が確認しておきたいポイントをご紹介します。
豪雨で見えてきたマンションの弱点
近年は、短時間に大量の雨が降る集中豪雨が各地で発生しています。
マンションは一般的に、戸建住宅よりも水害に強いと思われがちです。しかし、地下や低い場所にある受変電設備、給水設備、機械式駐車場などが浸水すると、建物そのものに大きな被害がなくても、日常生活に深刻な影響が及ぶことがあります。
イントスのYouTube動画では、「令和8年8月千葉豪雨の教訓」をもとに、マンションの電気と水が止まる仕組みや、管理組合として考えておきたい備えを解説しています。
まずは、自分たちのマンションについて、次の点を確認してみましょう。
- 受変電設備や給水設備はどこに設置されているか
- 浸水が想定される場所に重要な設備がないか
- 停電時に使用できなくなる設備は何か
- 非常用電源でどこまで対応できるか
- 災害発生時の連絡先や対応手順が決まっているか
設備の場所や仕組みは、普段の生活では意識する機会が少ないものです。平常時に確認しておくことが、被害の軽減や早期復旧につながります。
停電すると、水も止まることがあります
「停電しても、水道は使えるのではないか」と思う方もいるかもしれません。
しかし、マンションの給水方式によっては、電動ポンプを使って各住戸へ水を送っています。そのため、停電によってポンプが停止すると、水道管に問題がなくても断水することがあります。
一方で、停電時の状況は、マンションの給水方式や建物の高さ、設備構成によって異なります。
こちらのショート動画では、停電によってマンションの水が止まる理由を約1分で紹介しています。
管理組合としては、マンションの給水方式を把握したうえで、停電時に水が使えるのか、非常用電源はあるのか、復旧までどのように対応するのかを確認しておくことが大切です。
居住者も、飲料水だけではなく、トイレや生活用水が使えなくなる可能性を考えて備える必要があります。
「備えている」だけで安心していませんか?
防災倉庫、防災マニュアル、防災訓練――。
これらがそろっていれば、一見すると防災対策はできているように見えます。しかし、実際に災害が発生したとき、本当に機能するでしょうか。
例えば、次のような状態になっていないか確認してみましょう。
- 防災倉庫の鍵を誰が管理しているか分からない
- 備蓄品の数量や使用期限を確認していない
- 防災マニュアルを居住者が見たことがない
- 防災訓練が毎年同じ内容になっている
- 役員が交代すると、防災に関する情報が引き継がれない
- 高齢者や支援を必要とする方への対応が決まっていない
こちらのショート動画では、マンションで起こりやすい「防災あるある」を3つ紹介しています。
大切なのは、防災用品やマニュアルが「あること」ではなく、必要なときに「使えること」です。
管理組合では、年に一度は防災設備や備蓄品、連絡体制を確認し、防災訓練を通じて実際に機能するかを確かめておきましょう。
地震発生直後、最初に何をするか
大きな地震が発生したときは、慌てて外へ飛び出すのではなく、まず自分と家族の身の安全を確保することが優先されます。
揺れが収まった後も、火災や家具の転倒、割れたガラス、エレベーターの停止など、マンション特有の危険に注意が必要です。
地震発生直後の基本的な行動については、こちらのショート動画で紹介しています。
災害時に落ち着いて行動するためには、平常時に家族で次のことを話し合っておくことが大切です。
- 室内で安全を確保できる場所
- 家具や家電製品の転倒防止
- 家族との連絡方法
- 避難場所と避難経路
- エレベーターが停止した場合の対応
- 自宅にとどまる「在宅避難」が可能か
また、管理組合としても、建物や共用設備の被害確認、居住者の安否確認、災害情報の共有などについて、平常時から対応方法を検討しておくことが大切です。
役員だけで対応するのではなく、居住者同士が協力できる仕組みを平常時から考えておく必要があります。
マンション防災は「自助」と「共助」の組み合わせ
災害への備えは、各家庭だけでも、管理組合だけでも十分ではありません。
各家庭が水・食料・携帯トイレなどを備える「自助」と、管理組合や居住者同士が協力する「共助」を組み合わせることが、マンション防災の基本です。
管理組合では、次のような項目を定期的に確認しましょう。
- 防災マニュアルは現在の建物や居住状況に合っているか
- 防災倉庫の備蓄品と使用期限を把握しているか
- 停電・断水時の設備状況を確認しているか
- 災害時の連絡手段と情報共有方法が決まっているか
- 役員交代時に防災情報を引き継いでいるか
- 防災訓練が実際の災害を想定した内容になっているか
- 高齢者など支援を必要とする居住者への対応を検討しているか
すべてを一度に整える必要はありません。
まずは理事会でマンションの現状を確認し、できていることと、できていないことを整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ―「ある防災」から「機能する防災」へ
防災倉庫がある、防災マニュアルがある、防災訓練を実施している――。
それだけで安心するのではなく、災害が発生したときに本当に使えるか、居住者が行動できるかを確認することが重要です。
豪雨、停電、断水、地震など、災害の種類によってマンションへの影響は異なります。自分たちのマンションの設備や地域の災害リスクを知り、具体的な対応方法を話し合っておきましょう。
イントス マンション管理事務所では、マンション管理組合の運営や防災体制に関するご相談を承っています。
「防災マニュアルを見直したい」「管理組合として何から始めればよいか分からない」といった場合も、お気軽にご相談ください。
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