皆さん、こんにちは。マンション管理士のIです。
前回の「多文化共生社会(上)」では、川沿いでカワウの群れに一羽のサギが交じり、穏やかに過ごしている光景から、マンションという「小さな社会」における多文化共生について考えました。
今回はその続編として、文化や生活習慣の異なる人たちと共に暮らすために、管理組合や居住者に何ができるのかを考えてみたいと思います。
相手を知ることが最初の一歩
当然のことながら、多文化共生をめぐる問題を一刀両断に解決できる方法はありません。
私がこのコラムで繰り返しお話ししているように、無理のない、ちょうどよい距離感を保ちながらコミュニティを築き、その中で少しずつ相互理解を深めていくこと。一見すると遠回りのようですが、実はそれが一番の近道ではないかと思うのです。
相手が外国人であっても、基本は変わりません。
「そんなに簡単に言える問題ではない」と思われる方もいるでしょう。
確かに、言葉や文化、生活習慣の違いを乗り越えることは簡単ではありません。それでも、相手は同じマンションで暮らす一人の「人」です。
マンションのルールは、国籍にかかわらず守ってもらう必要があります。ほかの居住者に迷惑をかける行為があれば、まずは何が問題なのか、どのように改善してほしいのかを、分かりやすく具体的に伝えることが大切です。
掲示物や使用細則を多言語で案内したり、図や写真を用いて説明したりすることも、ルールを理解してもらうための有効な方法です。
それでも改善されない場合には、管理規約や使用細則、関係法令に基づき、管理組合として適切に対応しなければなりません。
犯罪に該当する行為には、当然、法令に基づく適切な対応が必要です。また、文化や宗教上の習慣に起因する行為であっても、ほかの居住者の生活に具体的な支障が生じているのであれば、互いの事情を確認しながら改善策を探る必要があります。
ここで大切なのは、最初から相手を遠ざけるのではなく、相手の事情にも耳を傾けたうえで、何が問題なのかを具体的に伝えることではないでしょうか。
壁をつくらないマンションへ
国籍や文化の違いだけを理由に壁をつくってしまえば、マンションは互いに身構えながら暮らす、息苦しい社会になってしまいます。それでは、健全な「小さな社会」とは言えません。
今後、マンションで外国人居住者と接する機会は、さらに増えていくと考えられます。
外国人の受け入れをめぐる社会的な是非を、ここで論じるつもりはありません。ただ、マンションという生活の場において、文化や生活習慣の異なる人たちとどのように向き合い、良好な住環境を守っていくのかは、管理組合にとって避けて通れない課題になりつつあります。
大切なのは、外国人居住者だけを特別扱いすることではありません。
国籍にかかわらず、すべての居住者が同じルールを理解し、互いに配慮しながら暮らせる環境を整えることです。
良好な住環境は「育てていく」もの

散歩道の一角では、「蓬の里プロジェクト」として、蓬の再生に向けた取り組みが進められていました。
自然環境もマンションも、そのままにしておけば良好な状態が保たれるとは限りません。状況を見守り、課題があれば話し合い、必要な手入れを続けていくことが大切です。
マンションもまた、そこに暮らす一人ひとりが互いの違いを尊重し、共通のルールを守りながら、よりよい住環境を育てていく場所です。
カワウとサギが同じ場所で自然に羽を休めていたように、背景の異なる人たちが、互いを必要以上に警戒することなく、穏やかに暮らせるマンション。
誰もが安心して暮らせる「小さな社会」を、皆でつくっていきたいものです。
関連記事
前編では、川沿いで見かけたカワウとサギの光景から、マンションという小さな社会における多文化共生について考えています。前回の記事も、ぜひご覧ください。

管理組合運営でお困りの際はお気軽にご相談ください
イントスマンション管理事務所では、管理規約や使用細則の見直し、理事会運営、居住者間のトラブルなど、マンション管理に関するご相談を承っています。
👇初回30分WEB相談/お問い合わせはこちら
執筆者
マンション管理士 岩﨑 一雄
イントスマンション管理事務所所属。
千葉市を中心に、管理規約の見直し、長期修繕計画、防災、理事会運営支援などを行っています。

